出荷前の検品と補修について

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 ラタンスタイルの製品はミャンマーで熟練の職人たちが作っています。職人が編み上げた製品はカラーリングの工程で染色・乾燥されたのち、最後にQC(quality control)という工程で細かなささくれなどを除去されてから日本に向けて出荷されます。
 ところがこのミャンマーでのQCの工程はあくまでミャンマー人の基準で行われるため、日本人の私たちが見た場合、製品のQCの結果は必ずしも満足いくものではありません。QC部門は常に大量の製品の仕上げに追われており、ひとつひとつの製品にかける時間が短くなったり基準が曖昧になったりすることがあります。
 QCのクオリティというのも何やら本末転倒な話に聞こえてしまいますが、私たちの20年以上に及ぶミャンマーでのラタン製作の過程の中で、製品の質をいかに高い状態で保持するかは常に中心的な課題で有り続け、それは今も変わることはありません。
 最初の頃は表面の細かなささくれをミッキーナイフ(ボンナイフ)で除去しているスタッフの姿を見かねて、日本から先端の細かい工作用のニッパーを大量に持ち込んで使うように薦めたりしたこともありましたが、結局彼女たち(QC部門はそのほとんどが女性スタッフ)は自分たちの手に馴染んだ道具を手放そうとはしませんでした。
 日本で製品を受け取るたびに、そして時には現地ミャンマーの製作現場を訪ねるたびに問題点をあぶり出し、互いの意見をぶつけ合いながら品質の向上をはかるという事を繰り返した結果、それでも満足のいくQCがなされていない製品については日本に入荷後に自分たちの手で行うことにしました。それ以来、私たちラタンスタイルの製品は入荷後に細かい検品を行い、必要に応じて表面をより平滑に仕上げたり、編み目のラタンが切れかかっている箇所はあらかじめ予防的な補修をしたのちにユーザーの皆様の元にお届けするようにしています。
 画像は商品の入荷時に同梱されてくる補修用のラタンピール(表皮)です。ラタンスタイルの標準色であるアンティークブラウンのものとホワイトオフのもの、無塗装のものの3種類で、なるべく近い色味の部分を補修箇所に編み込んだり差し替えたりしたのち、周囲の色と馴染むように染色を施します。